目次
- チラシの作り方について、間違った考え方
- 主婦のチラシの使い方は?
- 主婦が“反応”するチラシ掲載商品
- 競合店とのチラシ比較・評価(主婦が反応するチラシ掲載商品の掲載状況)
- チラシ改善の結果
- チラシ診断&改善案”をパッケージ化した「チラシ秘書」
チラシの作り方について、間違った考え方
例えば食品スーパー様では、チラシに掲載する商品をどの様にピックアップされている のでしょうか?
商品部の仕入れ努力により、値段を安く提供できる商品、新商品、季節商品などなど、掲載したい商品は多々あると思いますが、それらの対象商品は「企業や店側の都合」が中心になってしまっていませんか?
店頭にどのような良い商品を並べても、まずはお客様に店へ来て頂かないと何も伝わりませんし、買って頂く事も出来ません。チラシはその為の重要な集客装置のひとつでもあります。ですので、そのチラシにピックアップされるべき商品は、「企業やお店が売りたい商品」ではなく、「お客様が買いたい商品」であるべきなのです。
ある時、当研究所のクライアントである某食品スーパーチェーン様から「チラシの効果が弱くなってきた」「もっと集客力を上げたいがどうすれば良いか?」というご相談を受けましたが、そのクライアントがチラシに掲載している商品を確認したところ、やはりクライアント都合の商品が多数掲載されており、主婦が望むものになっておりませんでした。
主婦のチラシの使い方は?
当研究所で調べた「主婦のチラシの見方・使い方」について下記に纏めます
①日常的に購入するものは最安値を把握しているので、チラシに表記された 値段で安いか、安くないか、を見極める
②新商品が掲載されていたら、価格を参考にして、お店でも商品を確認する。
③催事、イベント(●●フェアなど)の記載があれば、そのお店にも行ってみる。
④店によって曜日ごと特価商品があるので(野菜の日、肉の日など)、その日の掲載商品は期待して見る。
このように日々のチラシは、“商品価格”が主婦にとって最も注目される情報です。
催事やイベントも競合店からお客を獲得するきっかけになる事が期待できそうですが、毎回イベントや催事を企画するには無理がありますし、お店の負担も大きくなります。
そこで注目すべきはやはり“商品価格”なのですが、そこには大きなポイントが存在します。
主婦が“反応”するチラシ掲載商品
主婦に望まれているからと言って、すべての商品価格を下げることはできません。
そこで、主婦の方が商品価格を特にシビアに感じる「なるべく安く購入したい商品」は何なのか?を把握し、チラシに掲載するべき商品の優先順位を付ける事にします。今回のケースでは、約300の商品群から選んで頂く調査を主婦2000人に対して実施しました。
この時の結果では、食品37品目、日用消耗品19品目の、合計56品目で「なるべく安く購入したい商品群(サブカテゴリ)」が確認できました。
この調査はインターネット上で行うのですが、この対象となるサブカテゴリの結果は「地域性」や「競合環境」などによっても変化します。その為、精度を上げる為には“クライアントの店舗周辺エリアに限定”することも重要です。
競合店とのチラシ比較・評価(主婦が反応するチラシ掲載商品の掲載状況)
次にクライアントと、その周辺にある競合店の約1ヶ月分(8回分)のチラシに掲載された全ての商品を当研究所にてデータベース化し、チラシ掲載商品点数や、先の調査で判明した「なるべく安く購入したいサブカテゴリ」の価格帯、及び、どの程度チラシに掲載されているか?を分析します。結果として、
・同じB4サイズのクライアント店舗の商品掲載点数が80点に対し、 競合店のチラシには120点掲載されている。
・「なるべく安く購入したいサブカテゴリ」の対象商品の掲載数が他社よりも少ない (下記グラフ)、かつ価格も全体的にやや高い。
・「なるべく安く購入したいサブカテゴリ」“以外の”商品が多く掲載されており、また、 それらの商品価格が競合店よりも安い。
などが判明しました。 当然ながら「なるべく安く購入したいサブカテゴリ」の掲載率が高い方が良いのですが、 もうひとつ重要なポイントがあります。それは最後の
・なるべく安く購入したいサブカテゴリ」“以外の”商品が多く掲載されており、また、 それらの商品価格は競合店よりも安い。
という項目です。主婦が「なるべく安く買いたい」と思っている商品“以外”という事は、裏を返せば「そこまで価格を気にしていない商品」という事になります。
少し大げさに表現するなら、その商品を頑張って価格を下げてチラシに掲載しても、それは「企業・お店の利益を圧迫しているだけ」という事にもなりかねません。
チラシ改善の結果
それらの結果を踏まえ、クライアントには
①「なるべく安く購入したいサブカテゴリ」のチラシ掲載比率を競合店よりも引き上げ
②「なるべく安く購入したいサブカテゴリ」の価格の見直し ⇒理想は競合価格帯の下をくぐる、もしくは競合と同額に
③「なるべく安く購入したいサブカテゴリ」“以外”の商品価格を通常売価に引き上げて、 チラシ掲載率を下げる
④B4チラシの商品点数を80点から120点に、洋デイリー、和デイリー、ドライなど を主に増加
の等の改善案をご提案させていただきました。
上記は販促部様にご提案させていただいたのですが、商品部様の協力も得て実際にチラシを改善、配布する事ができました。 その結果、約3ヶ月後のセールの売り上げが10%アップし、また一部の商品の価格を 逆に引き上げたにも関わらず、後の“効果検証調査”では、「安いと感じている」との 回答比率が上昇しました。
チラシ診断&改善案”をパッケージ化した「チラシ秘書」
もう一度その流れを下記にまとめます。
①安さ感に関する全般的な店舗評価
②お客様が安い方が良いと思っているカテゴリランキング
③競合他社とのチラシ掲載サブカテゴリの構成比比較と特徴
④競合他社との売価比較
⑤上記分析結果からのチラシ集客力UPの為の対策案
⑥数か月後に、再度①を実施しての効果測定
ポイントは、
★「何を売りたいか」ではなく「何が求められているのか」
★「安くするべき商品」と「掲載比率の向上」
★「安くする必要の無い商品」の把握
です。また上記は、エリア・競合状況により結果が異なる事を忘れてはいけません。 「この競合には、どうしても価格ではかなわない」という場合でも、競合店評価の詳細を知る事により、「この商品分類に限ってなら可能性がある」という事があるかも知れません。
研究所では上記の様な“チラシ診断&改善案”をパッケージ化し、「チラシ秘書」というサービスとして商品化しております。チラシの掲載商品でのお悩みや、改善を求められている企業様がございましたら、是非当研究所への御相談をお待ちしております。
この記事の執筆者:紙メディア研究所編集部
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